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読んだ本

 

 

百合同人漫画の執筆に没頭する有希は、サークル「ゆゆゆり」の相方・由香に「好き」という言葉を伝えられずにいた。
即売会で初めて出会った時、由香の傍らには彼氏がいた。
やがて彼氏とは別れたけれど、由香がなぜ百合を描くのか、この気持ちを打ち明けても彼女は突き放さないでくれるのか、有希にはわからないままだった。

レズビアンの有希とヘテロセクシュアルの由香。
有希がその想いを隠すことで成立した、脆い関係の行き先はーーーー。

 

百合ジャンルにおける創作と消費を巡る物語。

レズビアンの友希、ヘテロセクシュアルの由香、そして彼女たちと同じように男女問わず百合を嗜好し創作する同人作家が集い、女の子同士の関係をファンタジーとして消費する中で「百合って誰のためのものなんだろう」と問いかける本作。

前半は由香への恋心を隠し懊悩する友希の視点、後半は変化した2人の関係性を由香の視点から描いていく。

同性愛者の友希は百合に自分の叶わない憧れや祈りを託す。

友希よりも一足先に社会に出てデザイナーとして働く由香は日々男性優位な社会の中で求められる規範と向き合い続ける中で、誰かに容姿や性格をジャッジされたり、あらゆる意味が歪められず女の子が女の子であるだけで肯定される世界を百合に求める。

同性愛者、異性愛者、男と女、百合(ファンタジー)と現実と様々な二項対立を提示しながらその境界を融解させ「百合とは誰のためのもの」かという問いかけを丁寧に、真摯に、しかし鋭く描写する本作。読み手の立場によって受け取るものは大きく違うかもしれない、けれどそれぞれがそれぞれの理由で百合が好きだという価値観の元に集うコミュニティを描く本作のように、少しでも百合に関心がある人なら読んで全く後悔のしない内容だと思う。紙版も買っちゃう。

 

聴いた音楽

Fivio Foreignのシングル。

カニエのアルバムDONDA収録のOff the Gridの3人にアリシア・キーズを迎えた今楽曲はThe ChainsmokersのNew York Cityをサンプリングし、NYブルックリンドリルの旗手、故Pop Smokeの盟友であり、継承者であるFivioが同郷のアリシア・キーズを迎え、Off the Gridの続編をやっているような感じのニューヨーク、ドリルアンセムになっている

「Pop was the king of New York, now I'm the ni** in charge/Popはニューヨークのキングだったが今は俺が仕切っている」というリリックの通り、名実共に彼がニューヨークの玉座に手をかけたような力強さのある楽曲。

ちなみにカニエはキムにパーティーにお呼ばれされなかった件やドレイクとの事を話題にラップしている。