1/4

読んだ漫画

ぎんしお少々

 

言葉が足りずどこか誤解されがちなカメラ少女のもゆる。物静かでコミュニケーションが不得手な美少女の銀(しろ)。写真を撮りたい(お近づきになりたい)もゆると、拒む銀。それとは対照的にお互いの姉同士は偶然の出会いから急速に仲良しに!?

きらら4コマ漫画が1巻55円のセールをやっていて、試しに1冊購入、面白かったので2巻目も買って読んだ。 

 

今年社会人になる姉「もゆる」と高校生になる妹「まほろ」、生まれが5分違いの双子の姉「鈴」と妹「銀」の2つの姉妹の交流をフィルムカメラを通して描いた本作品

f:id:tm_ulstergyro:20230105004645j:image

句点やひらがな、カタカナも駆使され細部まで拘った生感のある台詞回し、それぞれの人間関係の交流にデジタルではなく現像されるまで「時間差があり」「写真がどうなっているのかわからない」フィルムカメラが作品に選択される必然性、時間を切り取り、曖昧な人間の記憶よりもずっと正確に「たしかにここに在った」を証明する今という時間を超越してみせる写真という媒体、過去を記録する「行為」によって変えられていく現在と未来、写真とカメラの持つ魅力が人間関係を丁寧に変化させていく、とても素晴らしい作品だった。

 

2巻で完結してしまうのはとても勿体無い、これが丁寧に続けばきっとこの作品を一生のマスターピースにしてしまう人も必ずいたのではないかと感じる、素直に続きが読みたかったし、連載から追いたかったな……

どうも1巻の初週売り上げ時点で2巻完結が決まってしまったらしく、このラノ入賞を果たしたにもかかわらず打ち切りという話を聞いた時を想起させられてしまった、出版全体の布教も感じるし、きららも百合姫も、やっぱり小さな市場で生き残りを賭けて戦ってるんだな…

 

結構「明るい部屋」(シャニマスでは無くロラン・バルトの原著の方)に通ずる要素があると思います。

どこまでも主人公のもゆるはロラン・バルトの言う「私的な写真」に拘ったのが良かったです、最後に失敗した(最終話に撮る写真が失敗なの凄いよね)真っ黒な写真も、他人には一体それが何の写真か分からないが、彼女達だけが何を撮ったのか思い出として残せる。

姉同士の異常なスピードで進む親密関係がかなり良かったです。